前回の記事で露出の基本について軽く触れましたが、露出とは「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」の3つで決まります。
この記事ではこの3つの要素がそれぞれが写真にどんな影響を与えるのかを解説していきます。
絞りは光の「量」を調節
絞りとはレンズに搭載される、光を受ける量を調節する機構です。
大きな括りとしては絞りと呼ばれますが、値としてF値(エフち)と呼ぶ事も多いです。
取り込む光が多いと写真は明るくなり、絞って光を少なくすれば写真は暗くなります。
値として見る絞りは下のように変化していきます。
F1.4 | F2.0 | F2.8 | F4 | F5.6 | F8 | F11 |
シャッタースピードは光の入る「時間」を調整
シャッタースピードとは名前の通り、シャッターが開いている時間を指します。
またシャッタースピードは露光時間と呼ぶ事もあり、『露光時間が長い』といった使い方もします。
更に露光時間が長い事を『長時間露光』と読んだりと、微妙なニュアンスで呼び方が変わります。
シャッタースピードが長いと写真は明るくなり、短くすれば写真は暗くなります。
シャッタースピードは以下のように表され、単位は「秒」です。
1″ | 0.5″ | 1/4 | 1/8 | 1/15 | 1/40 | 1/80 |
ISO感度は光を「電気」で調整
デジタル写真の前はフィルムにISOが割り当てられていました。
それがデジタルカメラとなる事で、フィルムが撮像素子になり、フィルムのISOが撮像素子のISO感度となりました。
撮像素子が光を受けて、その光を増幅させるのがISO感度です。
ISO感度は単純に上げれば明るくなります。
100 | 200 | 400 | 800 | 1600 | 3200 | 6400 |
3つの要素が与える明るさ以外の写真への影響
ここまでは明るさについて紹介しましたが、「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」を変更して、変わるのは明るさだけではありません。
簡単にではありますが、これらが与える明るさ以外の影響を紹介します。
絞りはピントに影響
絞りを開放付近で使うとよく起きるのが「ボケ」です。
ボケとはピントの合っていない部分の事で、F値が低いレンズほどよくボケる反面、ピントの合う範囲が狭くなります。
つまり、よくボケるレンズほどピントが合っているか注意する必要があります。
逆に写真の全てにピントが合っている写真をパンフォーカスと呼び、絞りを絞る(F値を上げる)事で写真全体にピントが合うようになります。
シャッタースピードはブレに影響
シャッタースピードが長いと被写体がブレやすくなります。
一番身近なブレというと手ブレで、シャッターが開いている間に手が動いてしまい、NGカットとなってしまいます。
そういった手ブレを防ぐために、基本的には短いシャッタースピードが好まれます。
しかし写真を撮っているとシャッタースピードを伸ばさなくてはいけないケースが必ず出てきます。
そうした時のために、自分がどれくらいのシャッタースピードに耐えられるか知っておくことも重要です。
ISO感度はノイズに注意
電気で写真を明るくするISO感度で注意するべき点はノイズです。
ISO感度は紹介した通り、電気の力で写真を明るくします。
そして写真を明るくする際に、電気ノイズまで増幅してしまい、結果として写真がザラザラとした質感になり画質が低下します。
「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」のバランスが大切
露出の調節は紹介した「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」の3つで調節します。
例えばボケのある写真を撮影したい時は以下のように調節します。
- F値を下げる
- 露出が明るくなる
- シャッタースピードを短くする or ISO感度を下げる
上記の3番で「シャッタースピードを短くする or ISO感度を下げる」とあるように、露出を調節する選択肢は一つではありません。
絞り | F4 | F5.6 | F4 | F8 |
シャッタースピード | 1/50 | 1/50 | 1/200 | 1/25 |
ISO感度 | 100 | 200 | 400 | 200 |
このような豊富な選択肢の中から、ボケや手ブレのしないシャッタースピード、ISO感度のノイズなどを確認しながら撮影します。
ただこれを手動で操作するのはマニュアル露出の場合のみで、自動露出を使えばこれらが簡単に設定できます。
全てをバランス良く調節してくれる自動露出
「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」の3つを自動で調節してくれる設定が自動露出です。
自動露出には「プログラムオート」「絞り優先オート」「シャッタースピード優先オート」があります。
例えば絞り優先オートでは、絞りをF5.6と指定した場合、それに合ったシャッタースピードとISO感度を自動で設定してくれます。
次回はこの自動露出について解説していきます。